美ヶ原散策

日頃の運動不足を解消しようと「トレッキングでもしてみるか」ということになった。歩くだけなら地元で十分のはずが、形から入らないと気が乗らないので、遠く美ヶ原を目指すことにした。
昨年も紅葉を見に行ったので、「程度=難易度」は分かっているつもりだった。

崩れる予報になっていた天気が意外にも快晴となり、絶好のトレッキング日和だ。松本から美ヶ原自然保護センターを目指した。
カーナビと道路案内に従い目的地に向かって登って行ったが、どうも去年の道とは違う。30年ほど昔、家族旅行で訪れた美鈴湖を通ったとき、目的地を間違えたことにようやく気付いた。
美ヶ原高原へはいくつものルートがあり、今回は松本から西側、美ヶ原スカイラインで上がったのだが、昨年は上田から山本小屋に入ったよだった。
とはいえ、新しいルートは新鮮で絶景をプレゼントしてくれた。

自然保護センターに着くとすぐに玄関口の「王ヶ頭」を目指した。歩き始めてすぐに後悔の念。予想をしていない程の上り坂だ。私以外の人はなんてことはない坂なのだろうが、運動不足極まりない私にはノッケから試練だった。

ヒーコラ云いながらようやく王ヶ頭に着くと、30年前見た懐かしい景色が広がっていた。当時は運動大好き少年だったためが、ここまでの坂の印象にないことにまた驚かされる。

王ヶ頭ホテルで牛乳を1杯飲んで高原散策のスタート。昨年入った山本小屋を遠くに臨み、「塩くれ場」から「百曲がり」の下り口までは整備された道のため軽快だった。しかしそこから王ヶ頭ホテルに戻るもうひとつの道に向かったところから様子が変わった。高原の縁を周るそのコースは崖の縁でもあった。遠く東に北アルプス、南に諏訪湖を望むそのコースは絶景だったが、同時にアップダウン多彩な難所(私にとっては)でもあった。

ホテルまでの最後の坂を登り切ったときは景色を愛でる余裕もなくなっていた。昼食のカレーを胃袋に納めてようやく落ち着いたときに思った。
去年スイスアルプスを歩いたが、ここはそれに劣らないみごとな「アルプ」だ。海外に行かないと楽しめない、と思っていた絶景も、この小さな日本には存在し、海外にはない絶景も楽しむことができる。なんと恵まれた国なんだろうか。もっともっと楽しみたいものだ。